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パンフレット 制作を作るしくみ

とくに指摘したいのは次の3つの点です。 ひとつ目は、「選択の自由度」への対応です。
マンションを購入する側の価値観がこれだけ大きく変化し、あるいは変化しつつあるのに、供給する側の用意するマンションのメニューにはまだ大きな変化が見られず、その選択肢もまだまだ乏しいのではないでしょうか。 いろいろなところで新しい試みが行われながら、売る側も買う側も最後は冒険ができない、保守的な選択をしてしまうというのは、マンションが簡単に取り替えることのできない高価な商品だということが理由でしょうか。
しかし、これは買う側にも一因があると思います。 私が関わることの多い、古くなったマンションの「建替え」では、建て替えるマンションの区分所有者にアンケートを何度も繰り返し、新しい自分たちのマンションへの希望を数回にわたってヒアリングし、これを建築計画に反映するという過程があります。
設計の担当者は所有者からどんな難しい要望が出てくるか、不安一杯な気持ちで待ち受けているわけです。 しかし、実際は「和室が欲しい」とか「ドアを引き戸にしたい」「床暖房にして欲しい」「キッチンの仕様は:::」といった希望が中心で、一般に分譲されるマンションのメニューから大きくはみ出すような提案はほとんどありません。
計画や供給を行う側でも暗中模索でしょうが、それ以上に、買う側にもまだまだ新しい住まい方へのイメージが見えていないのだと思います。 しかし、「何かが違う」「もっといいものができるはずだ」という感覚はもっていると思います。
それが多くの人の中に割り切れなさとして残っているのも事実だと思います。 マンションが商品として成熟するためには、より選択の自由度を増すための方法が必要ではないでしょうか。
変化への対応2つ目は、「変化への対応」という点です。 住宅はいうまでもなく、私たちが所有する「モノ」の中で最も寿命が長いものです。
本来は人の寿命よりはるかに長い年月、何代にもわたって残り続けるものであるというのが、私たちの家というものに対する基本的なイメージです。 その長いスパンの中で、住む人の価値観もライフスタイルも、年齢や環境に応じて変化します。

さまざまな変化に対応できる「対応力」「自由度」は、永住を実現するための大事な前提条件でもあるのです。 例えば、子どもが誕生した、成長して子ども部屋が必要になった、子どもが就職した、結婚して独立したというような家族構成の変化。
子育てをしながら仕事を続ける。 親が老いて介護が必要になる。
やがて自分たちも年をとるといったライフスタイルの変化。 あるいは、床暖房やオール電化、インターネットなど、時代に合わせた住宅のインフラ環境の変化もあるでしょう。
一人ひとりの生き方や家族のありよう、技術の進化にともなう生活の環境がこれだけ大きく変化していくのに、今のマンションは間取りの変更や住宅設備の切り替えに柔軟に対応できる構造や仕組みになっているでしょうか。 住宅を所有することにこだわらず、利用価値を求めるなら、ライフスタイルに合わせて住宅を賃借すればいいのかもしれません。
事実、賃貸マンションでは商品の差別化を図るため、分譲マンションに先んじて新しい試みが出ています。 しかし、まだまだ賃貸物件と分譲物件の聞には住宅としての基本性能に差がある割には、家賃が割高であるというのが偽らざる印象です。
もともと私たちがもっていた、家族の成長にともなって変化していく「家」というものに対するイメージから見ると、ある意味でマンションは商品として完成されすぎていて、変化に対応するための自由度が足りないのではないか、という気がするのです。 マンション独自の魅力3つ目は、戸建てとは違うマンションの良さ、あるいは個性や特徴が十分に活かされた住まいとなっているのか、という点です。
まだまだ「住宅すごろく」の上がりまでの通過点、戸建て住宅よりも経済的ということがマンションの最大のセールスポイントになっていることは否めません。 しかし、土地と建物を単独で所有する戸建て住宅と、多数者で共有するマンションとはまったく異なる居住形態のはずだ、というのが私の持論です。

そこに、マンションの大きな潜在力も秘められていると思います。 このことについては、後でもう少し深く考えてみたいと思います。
最新マンション事情前項で、マンションならではの特徴や個性、魅力をもったものが出てきてほしいと書きましたが、それでも最近は既存の多くのマンションでも、入りこんだ袋小路からなんとか脱却を試みて、「選択の自由度」「変化への対応力」を備えた新しい方向を模索しようという事例が生れつつあります。 このような新しい潮流を簡単に紹介することにしましょう。
その根底に共通してあるのは「資産としてのマンション」から、「住まいとしてのマンション」への流れです。 「ヴインテージマンション」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
ヴィンテージワインからの連想でつくられた造語ですが、時間が経つほど味わいが深まる、住まいとしての魅力や価値が高まるマンションをこのように呼んでいるようです。 京都の町家ブームに似たものがあるのではないでしょうか。
そのヴインテージマンションの代表例として取り上げられるのが、東京港区の広尾ガーデンヒルズです。 このマンションは築加年後の現在も中古市場で非常に高い人気を保っていて、分譲された当時の新築坪単価が約260万円であるのに対して、2003年の中古坪単価が、なんと約360万円と4%近い値上がりを示しているそうです。
一般的には築50年のマンションの価格を分譲時と比較すると、平均で約3%の価格低下が生じるといわれています。 ところが広尾ガーデンヒルズは値下りどころか値上がりしているのです。
他にも、この広尾ガーデンヒルズほどではないにしても、価格が低下しないマンションが現われています。 このような流れには、新しいことを至上の価値とする考えから、より成熟したものの価値を評価しようとする価値観の変化が読み取れます。
時間が経過しても陳腐化することなく価値を維持し続けることが求められる、ここにこれからのマンションが目指すべき方向性のヒントが隠されているはずです。 マンションの建替えに関わりながら実感したのは、どうして初年や50年で建て替えなければならないような住宅が次々と供給されてしまったのか、ということでした。
その背景については、これまでも述べてきましたが、少なくともこれから建設され供給されるマンションに関しては、初年から100年くらいは陳腐化することなく利用できるものでなければならないと思います。 いま求められているのはマンションの長寿化なのです。

マンション選びのポイントではどうすればマンションの長寿化を進めることができるでしょうか。 そのための条件として、私が考えているのは次の4点です。
第1に、建物の躯体そのものの長寿化を図ることが必要です。 この点に関しては、十分な手入れさえ行えば、マンションの躯体はすでに100年以上の寿命をもつポテンシャルはあるといわれています。
第2は、設備関係のメンテナンスが容易に行えることです。 建替えの事例をみると、躯体の老朽化よりも、ライフラインといわれる電気、ガス、給排水管など設備関係の老朽化が大きな原因となっています。


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